採点ミスをゼロにするには(EZ採点OCR)
マークシート方式を利用する上での要点
人である以上、うっかりミスは避けられません。
そのため、いくら完璧を期したとしても採点ミスは起こりえます。
しかし、入試など人の一生を左右するような試験では、それは許されません。
その対策として、最近では、マークシート方式が広く利用されるようになってきました。
でも、単に、機械化(システム化)するだけで採点ミスを無くせるわけではありません。
機械化によって、作業は、効率的かつ迅速に行えるようになります。
そして、異なる視点(機械の目)からのチェックで、人的ミスをカバーできます。
しかし、逆に、機械化ゆえの要因が加わり、想定外の結果を生むこともあります。
また、「機械の処理は間違いない」という思い込みが、人的ミスを招くことにもなります。
機械を過信し頼りきってしまうことが最も危険です。
ここでは、そうならないように、マークシート方式を利用する上で、起こりうるリスクや対策についてまとめたいと思います。
マークシート読み取りエラーの原因
マークシート方式では、塗りつぶしたマークを機械で読み取ります。
したがって、通常では、まず誤認識は起こりません。
しかし、次のような要因で、誤認識が発生する場合があります。
スキャナー内にゴミが入り込む
マーク欄に、ゴミが付くと、塗りつぶしと見なされる可能性があります。
一番気をつけなければならないのが消し屑です。
蚊などの虫が入り込まないとも限りません。
マーク欄に汚れが付くのも同様です。
消し屑は、きっちり払い落とすなど、徹底しなければなりません。
避難訓練など、屋外で行う場合は、芝生なども紛れ込みます。
(記入者、および、スキャニングする側にも指導が必要)
スキャナーのセンサー部の汚れ
マークは、細いマジックを使うほうが、迅速に、きれいに塗りつぶせます。
でも、それでは修正ができないため、通常、鉛筆を使用することになります。
そのため、スキャニングを続けているうちに、内部に鉛筆の粉が溜まってきます。
こうした汚れも誤認識の原因になってしまいます。
こまめに内部を掃除し、センサー部の汚れを拭き取るということも必要になります。
スキャニング時のエラー
スキャニングの際に、マークシートが重送されたり、傾いたりすると、正しく認識されない場合があります。
通常、重送は、スキャナー側で検出し中断します。
しかし、スキャナーの紙送りの精度によっては、重送が起こる可能性もあります。
また、通常のスキャニングでは、ズレや傾きは、位置補正され正しく認識されます。
しかし、大きくズレてしまった場合は、基準になるマーク自体がはみ出して写りません。
その際は、「補正マーク」を認識できない旨のメッセージを表示して処理を中断します。
こうしたメッセージが頻発する場合は、用紙ガイドが開いていたり、ローラーの劣化が考えられます。
スキャニング時のエラーを防ぐために
◎スキャナーの用紙ガイドは、マークシートの幅にきっちり合わせてください。
◎マークシートをスキャナーにセットする際は、「雑に束ねない」「多く入れすぎない」
意外と多いのが、マークシートを雑に束ねてしまうということです。
(枚数が多いと同じ作業の繰り返しになり、無頓着になる傾向があります)
それによって、用紙ガイドが開いてきます。
その状態では、マークシートが傾いたり、ズレたりするようになります。
◎鉛筆の粉や汚れが原因している場合は、ローラーの掃除をしてください。
◎ローラーが劣化してくると、マークシートの傾きやズレが多くなります。
そういう場合は、ローラーを取り換えてください。
◎ハード的なトラブルが起こる場合もあります。
いつ故障しても対応できるように、代替機を用意しておく必要があります。
マークシートの印刷時の注意
マークシートの印刷に、高熱を加えるようなレーザープリンタやコピー機を使う場合は注意が必要です。
高熱により、マークシートが湾曲して用紙同士がくっつきやすくなります。
そのため、給紙時に重送などのトラブルが発生しやすくなります。
用紙は、コピー用紙(0.10mm)より少し厚め(0.13以上)のほうが、トラブルを減らすことができます。
マークシートの作成を外注する場合
マークシートを大量に使用する場合は、印刷会社に外注することになります。
その場合は、プリンタ出力したマークシートで、充分に読み取りテストを行ってください。
そして、問題がないのを確認して、それを版下としてください。
両面印刷する場合
設問数が多いと、シートの表(おもて)面のみでは収まらないケースがあります。
その場合は、用紙の裏面にも設問が印刷された両面シートを使用することになります。
この両面シートの印刷には、厚手(0.13mm以上)の用紙を使用してください。
コピー用紙のような薄い用紙(0.10mm)では、読み取りの際に透けて裏写りする可能性がでてきます。
裏写りしても、しきい値を超えない限り、記入されたマークとして判断されません。
しかし、くっきり写って、しきい値を超えると、記入されたマークとみなされてしまいます。
マーク濃度の「しきい値」について
マークとして認識されるかどうかは、「しきい値」(濃度と面積)によって決まります。
濃度が薄すぎるとスキャナーに写りません。(濃度はスキャナーの明るさで設定)
また、下記の「悪い例」のように適当に塗りつぶしたものでは、マークとして認識されません。
マーク欄の設定で「しきい値」を下げると認識されやすくなりますが、消し屑などの影響も受けやすくなります。
マーク欄は、ある程度の濃さで、塗り残しの無いように、塗りつぶす必要があります。
こうしたことは、記入例や注意書きを記述することで対応できます。
しかし、うっかりミスだけは避けられません。
異なる番号にマークしたり、解答欄を間違えたり、塗り忘れたりです。
「受験番号」の記入間違いのチェック
もし、「受験番号」の記入間違いが起こると個人が特定できなくなります。
そのため、スキャニングの際に、「受験番号」の正否をチェックしなければなりません。
その正否を判断するのに必要になるのが「受験者マスター」です。
「受験者マスター」とは、「受験番号」と「氏名」を登録しておくファイルのことです。
読み取りの際に、「受験者マスター」を参照すれば、「受験番号」の正否を判断できます。
でも、それだけで、問題が解決するわけではありません。
他人の(マスターに存在する)「受験番号」を誤って記入する可能性もあるからです。
そういう場合は、通常、そこで一旦、処理を中断して確認することになります。
(中断しないと、同じ「受験番号」のデータに上書きしてしまいます)
こうした状況は、ログにも出力されていますので、最終的に確認を行います。
記入もれやマークオーバーのチェック
読み取られたデータに、記入もれやマークオーバーの解答が無いか確認する必要があります。
マークオーバーは、消し屑や汚れが影響している可能性もあります。
記入もれやマークオーバーのデータは、画面上で検索してチェックします。
または、それらを抽出してプリンタ出力して確認することも可能です。
読み取り結果確認用シートでチェック
読み取り結果は、スキャニングと同時にプリンタに出力することができます。
マークシート1枚につき、1枚の確認用のシートを印刷します。
用紙代やインク代などのコストはかかってきますが、見直しは容易になります。
また、確認作業を、複数人で分担すれば、作業も迅速に行えます。
「不明瞭マーク」とは、マークとして認識されている中で、薄いマークのことです。
(マークと認識されている=「しきい値」を超えている塗りつぶし)
2度読みによってデータの矛盾を探す
読み取られたデータをチェックする方法として、オリジナルのデータとは別に、比較用のデータを別途読み取って(別テーブルに出力)、比較するという方法もあります。
2度目では、消し屑が取れていたなど、読み直しで結果が変わることがあるからです。
また、2度目の読み取りでは、スキャナーの読み取り濃度を明るめに設定することで、あいまいなマーク(薄いマーク)を探し出すことができます。
比較用データの作成は、サブシステムを利用して行います。
2度の読み取り作業が必要になりますので、手間や時間を要します。
しかし、下記のようなエラーは、瞬時に探し出すことができます。
<読み取りデータ比較の例>
【解答テーブル(1)】(メインのファイル)
解 答
受験番号 氏 名 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
10001 □□□□□ 1 6 7 9 3 2 1 7 3 3
10003 □□□□□ 7 3 3 3 2 7 6 6 2 5
10004 □□□□□ 8 5 8 9 6 2 8 4 9 0
10005 □□□□□ 2 4 9 0 9 8 3 2 5 7
10006 □□□□□ 3 6 8 2 1 9 9 3 1 3
【解答テーブル(2)】(サブのファイル)
解 答
受験番号 氏 名 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
10001 □□□□□ 1 6 7 9 3 2 1 7 3 3
10002 □□□□□ 3 7 9 5 5 4 3 2 5 2
10003 □□□□□ 7 3 3 3 2 7 6 6 2 5
10004 □□□□□ 8 5 8 9 6 2 8 4 9 0
10006 □□□□□ 3 6 8 2 1 9 9 6 1 3
受験番号“10005”は、解答テーブル(2)に登録されていません。
受験番号“10002”は、解答テーブル(1)に登録されていません。
受験番号“10006”の解答番号“8”の内容が異なります。[3][6]