「小さな経済圏」で食を守る

 では、どうやって、食(農業)を守っていけば良いのかです。
 端的に言うと、消費者にとっても生産者にとっても良い、そして、環境にも良い(負荷をかけない)...
 というもの(農業)に変えていかなければなりません。
 そのためには、生産者と消費者との間にある隔たりを無くし、消費者が生産に関わっていくという形にしていかなければなりません。
 つまり、その生産者の考え方に賛同する消費者が農を支えていくのです。
 たとえば、その農園の野菜を消費することで支えることができます。
 SNSなどで情報を発信したりもできます。
 体験イベントなどを通じて、消費者が生産を手伝うこともできます。
 料理教室や試食会、ワークショップなどで盛り上げていくこともできます。

 このように、消費者主導で農を支援していくのです。
 それにより、安全・安心は、確実に担保されることになります。
 完全セルフ形態での野菜の供給も可能になります。
 お客さんは、自分で欲しい野菜を収穫し、それを「はかり」に乗せ、精算すればよいわけです。

 もし、「量り売り」という文化がよみがえれば...農業の形態は根本的に変わります。
 種そのものから見直すことができるからです。
 あえて、雄性不念の(種ができない)F1種(規格野菜)を選ぶ必要もなくなります。
 「量り売り」では、形や大きさなどをそろえてパック詰めする必要は無いのですから...

 個性あふれる伝統野菜や在来種、エアルーム野菜なども扱えることになります。
 効率化より付加価値(品質や鮮度など)重視です。
 これら固定種野菜では、自家採種が基本です。
 育てた野菜から種を取って、翌年その種から育てられるのです。
 それにより、未来に種を継承していくことも可能になります。
 つまり、真の(種から)地産地消・適地適作が可能になるわけです。
 適地適作であれば、施肥の必要はありません。
 無施肥で、土壌を清浄化・健全化できれば、野菜も食害に遭ったり病気になったりしません。
 したがって、農薬も必要無くなります。
 無施肥・無農薬であれば、土壌や川や海、大気の汚染なども防げます。
 環境にも負荷がかからず、生態系も守れます。
 そして、省エネで、低コストです。
 野菜の付加価値も高まります。
 このように、種から見直すことで、初めて持続可能な農業が実現するわけです。

 このように、人と人とのつながりが意識の変革をもたらし、様々な価値を生み出していきます。
 そんな中で初めて、消費者にも生産者にも良い、そして環境にも優しい持続可能な農業の実現が可能になります。
 それによって、農園の役割も大きく変わっていきます。
 環境保全型農業は、農園を生き物の楽園に変えます。
 そして、農園は、単なる食料生産基地ではなく、楽しみや癒やし、学びの場に変わっていくのです。