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なぜ「量り売り」なの?

「量り売り」というのは...
お客さん自身で、欲しい分だけ袋に入れ、それを「はかり」に乗せ精算するというものです。
このような形態は、フランスのマルシェや欧米のオーガニックスーパーでは一般的です。
もし、日本でも、この「量り売り」が広まれば、食の世界が大きく変わるかも知れません。

この「量り売り」のメリットは、
自分が欲しい分だけ買えるので食材の無駄がでません。
包装の袋やパックなども不要になりますので、資材も節約できます。
ゴミも大幅に減らせます。
生産者は、袋詰めなどの作業の手間も省けます。

でも、ここで強調したいのは、そういうことではありません。
「量り売り」は、農業の形態を大きく変えうる可能性を秘めているということです。

周知の通り、日本の農業は、今、危機的状況にあります。
時間的な猶予がありません。
耕作を放棄された農地は、日々、原野化しています。
いったん原野化した農地をもとに戻すことはできません。
山や田畑を管理できる人、そして、そのノウハウや技術も消滅しているのですから...
そして、農家は、自家採種をやめてしまったため種の継承ができません。
食の根源である原種(遺伝資源)が日々消滅していることになります。

これは、新規就農者が増えていかない限り、どうにもなりません。
しかし、現状では、たとえ就農したとしても持続ができません。
今の農業形態では、成果物の価格が低すぎて利益がでません。
にも関わらず、大変な労力を要します。
そして、資材や設備にコストがかかりすぎます。
おまけに、リスク(異常気象や獣害など)が高すぎます。

これからは、ますます、厳しさが増していくでしょう。
少子化や価値観の多様化で、市場は、どんどん縮小していきます。
資材や化石燃料に頼っていると、コストもかさんでいきます。
多肥・深耕によって、土壌は疲弊し砂漠化に向かっています。
薬剤抵抗性害虫、薬剤耐性菌が増えて、農薬も効かなくなっていきます。
環境問題も深刻化していきます。
肥料や農薬の地下水への流出による環境汚染。
窒素肥料の気化による地球温暖化の促進などです。

「量り売り」で農業は変わる

なぜ、こうした状況に陥っているのかというと...
効率化優先で突き進んできたからです。
では、なぜ、効率化優先で、進まざるを得なかったのか?です。

今までは、いくら高品質の野菜を栽培しても市場では評価されませんでした。
そのため、規格化された単一品種の野菜を、工業製品のように作るしかありませんでした。
そして、少しでも収量を上げようと、多くの肥料を投入してきました。
それによって、今の状況を招くことになっています。

もし、「量り売り」が可能になると...
今までのように、規格化された野菜である必要がありません。
生産者は、多品種・少量生産で、付加価値の高い野菜も扱えます。
つまり、固定種や伝統野菜、在来種、エアルーム野菜なども扱えるわけです。
そして、無農薬栽培で、多少の虫食いがあっても問題ありません。
お客さん自身で、欲しいものを選んでくれるのですから...

それによって、ビジネス形態も大きく変わってきます。
大量生産から高付加価値化への転換が可能になるということです。
そして、提案型ビジネスへも移行できます。
たとえば、今では、野菜は、甘ければ美味しいという価値観しかありません。
食の世界は、まだまだ未熟で未開拓といえます。
野菜本来の魅力を発信する余地はいくらでもあります。
個性豊かな野菜が市場に出回るようになれば、消費者の意識も変わっていきます。
そこから、新たな価値や市場が創造されていくことになります。
そして、食に関する産業全般の活性化にもつながります。